盲目の天使
「王よ!誤解です。
リリティスは、そのような考えは、決して持ち合わせておりません。
第一、目の見えぬ彼女が、どうやって毒など入れることができるのです!」
カルレインは、兵士たちを威嚇しながら、リリティスを背中にかばった。
ううむ。
確かに、私に気づかれぬように、どうやって毒を仕込んだのか。
いったんは、リリティスを疑ったものの、どうも納得がいかない。
第一、ここで、自分を殺して、一体この娘に何の得があるというのか。
カルレインの妃にと望まれているのだから、何もせずとも、玉座が転がり込むと
ほくそえむのが、普通ではないか。
王は、カルレインの背で震えるリリティスに、自分が一本取られたとはどうしても信じられず、黙り込んだ。
だからと言って、このまま野放しにするわけにもいかず。
「ロキ。この場をどうすべきか、意見を聞きたい」
王は、重臣たちのなかでも、もっとも信頼を置く、ロキ大臣に意見を求めた。