盲目の天使
「私も、やさしい姫にそんなことができるとは、思えなくてな」
プロンは、次第にリリティスとの間を詰めて、髪の毛に触れてきた。
見事な、銀髪だな。
プロンは、リリティスの髪に触れながら、いやらしい笑いを浮かべて、顔を近づけた。
「誰にもらったのか、教えてくれないか」
リリティスは、プロンがカルレインを、罪に陥れたいのではないかと思った。
毒を入れたのは、自作自演で、
ひょっとしたら王自らが、杯に毒を盛ったのかもしれない。
「あれは、私が、買ったものです」
リリティスは、きっぱりと、胸を張って答えた。
「ほう。姫が自分で、というのか」
「はい。祭りの際に、行商人から買いました。
似合うと言われたので」
半分は、本当のことだ。
どうしても、カルレインの名を、口にするわけにはいかない。