盲目の天使
息子の言葉に、わなわなと震えだしたソレイユは、杯をアルシオンめがけて投げた。
「そなた!
息子といえど、言ってよいことと、悪いことがある!」
投げた杯は、アルシオンの顔に当たり、頬が赤くなる。
しかし、アルシオンは微動だにすることなく、ソレイユの顔を正面から見据えた。
「母上。私は、王位にはつきません」
「なんだとぉ?」
「王にふさわしいのは兄上です。どうかおあきらめください。
それだけ言いにきました。
私は、なんとしてもリリティスを助け出すつもりです」
アルシオンは、ソレイユに一礼すると、そのまま踵を返し、部屋を後にした。