盲目の天使

アルシオンが、不機嫌そうに突っ立っているのを見て、

ソレイユは、しかたなく、口を開いた。


「お前はまだ若いな。

カルレインは、自分から王の座を手放したのだ。


あの娘を使って王を毒殺しようとするなど。

きっと、お前のことが怖くて、つい魔が差してやってしまったのだろうよ」


「本当に・・・、そうでしょうか?」


アルシオンの意味深な言い方に、ソレイユは、杯から口を離した。


「何が、言いたい?」


「王を毒殺しようとしたのは、母上ではありませんか?

いや、もともと王が目的ではなかった。


リリティスを・・、ひいては兄上を貶めるために、

王の杯に、毒を盛ったのではありませんか?」



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