盲目の天使
ソレイユの部屋に、気配を消して、音もたてずに忍び入る影が一つ。
その影が、ソレイユにそっと耳打ちする。
王が、王女の牢を訪れただと?
ソレイユは、その報告を聞いて、眉間のしわを深くした。
このままでは、まずいことになる。
万一、アルシオンから真相が明らかになれば、自分の身が危うくなる。
行商人だけでなく、あの王女も始末するか・・・。
自分の命令で作らせた、毒入りの首飾りを、行商人に高い報酬を払い、
カルレインへ売りつけるよう仕向けたのは、ソレイユだ。
本当は、城へ行商人をよんだ時に、売りつけるつもりだったのだが、
カルレインが、タザトットへ行ってしまったので、予定が狂った。
アルシオンがその行商人から、髪飾りを買ったと知ったときは、肝が冷えた。
何を買ってもいいように、首飾りだけでなく、全ての宝飾品に細工をしていたから。
頭の中には、さまざまな謀略が、渦巻いているのだろう。
ソレイユは、そっと瞳を閉じた--。