盲目の天使

ソレイユの部屋に、気配を消して、音もたてずに忍び入る影が一つ。

その影が、ソレイユにそっと耳打ちする。



王が、王女の牢を訪れただと?



ソレイユは、その報告を聞いて、眉間のしわを深くした。

このままでは、まずいことになる。

万一、アルシオンから真相が明らかになれば、自分の身が危うくなる。



行商人だけでなく、あの王女も始末するか・・・。



自分の命令で作らせた、毒入りの首飾りを、行商人に高い報酬を払い、

カルレインへ売りつけるよう仕向けたのは、ソレイユだ。


本当は、城へ行商人をよんだ時に、売りつけるつもりだったのだが、

カルレインが、タザトットへ行ってしまったので、予定が狂った。


アルシオンがその行商人から、髪飾りを買ったと知ったときは、肝が冷えた。

何を買ってもいいように、首飾りだけでなく、全ての宝飾品に細工をしていたから。


頭の中には、さまざまな謀略が、渦巻いているのだろう。

ソレイユは、そっと瞳を閉じた--。















< 302 / 486 >

この作品をシェア

pagetop