盲目の天使
その日は、朝から重臣たちが一同に集められ、何事かとざわついていた。
皆、大事な話があるという、王の命令で集められたが、何があるのか知る者はない。
皆が集まったところで、王は、自分の跡継ぎを、アルシオンにすることを宣言した。
カルレイン派の重臣たちは、がっくりと肩を落としたが、
この現状では、仕方がないとあきらめた。
なにせ、王の毒殺容疑が、かかっているのだ。
カルレインも、意義を唱えることはしなかった。
当のアルシオンだけが、立ちすくんでいた。
その顔は、青ざめ、当惑しているようにも見える。
それともただ、緊張で、顔が強張っているだけなのか。
「みな、アルシオンを、次期国王として教育し、支えていくよう、よろしく頼む」
王の言葉に、皆が、膝を付いて頭を下げた。
そんな!
これでは、カルレイン様の立場が危うい!
マーズレンは、もはや、リリティスではなく、
カルレインを救わねばならない状況に、追い込まれたと、痛感した。