盲目の天使



カルレイン様・・・。

あぁ、せめて、一目会いたい!



リリティスは、そう思って、自嘲気味に笑った。


目の見えない自分が、“一目会う”などと、馬鹿らしい話だ。

だが、死ぬ前に、どうしてもカルレインの声が、聞きたかった。


自分の名を呼び、抱きしめてほしい。


リリティスは、ふと、カルレインが話していた、天使の話を思い出した。



そういえば、カナン国には天使がいると、カルレイン様はおっしゃっていた。

生まれ育った場所なのに、私は、一度も会ったことがないけれど、

もし、本当にいるなら、私の最期の願いをかなえてはくれないかしら・・・。




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