盲目の天使
それは、花であった。
強い芳香があるわけではないが、しっとりと、やさしい匂いのする、花。
花弁の一つ一つは、小さく、房咲きの花のようだ。
リリティスは、すばらしい香りに包まれて、久しぶりに、緊張から解放された。
その花を、大切に胸に抱えると、覚えず涙がこぼれた。
カルレイン様・・・。
翼の音は、天使のそれではなかったが、
リリティスにとっては、天使以上にすばらしいものだった。
自分がカルレインを想っている様に、
カルレインもまた、自分を想ってくれている。
「ジル!
どうもありがとう!」
弾んだ声で、話しかけたが、ジルは、一向にそこから飛び立つ気配がない。
もしかして、私も、何か届けてもらえるのかしら。
たんなる思い違いかもしれないが、試してみる価値はありそうだ。