盲目の天使
兵の扱いは、アルシオンより自分のほうが長けている。
プロンも、もう年で、長い間、実戦からは離れている。
もしも内乱を起こせば、自分が勝つ自信はあった。
だが。
そうやって、内乱を起こしたところで、一体、何が得られるというのか。
国を二つに分けて、一番被害を受けるのは、自分たちではなく、民だろう。
民が傷つけば、結局は国が傷つく。
そんな簡単なことに、なぜ支配する側は、気づかないのか。
「俺は、逃げるほうを選ぶ。
すまない、マーズレン」
自分が逃げれば、必然的に逃げることになるマーズレンに、
カルレインは、心からわびた。
マーズレンは首を振ると、しっかりとカルレインの目を見た。
「カルレイン様は、リリティス様に出会ってから、お変わりになりました。
昔のような、好戦的なカルレイン様もいいですが、
今のやさしいあなたのほうが、私は、何倍もすばらしく、誇りに思います」
マーズレンは、にっこり笑った。
やさしくあることは、勇気のいることですからね、
と笑うマーズレンは、自分より何倍も大きく見える。
・・どちらが、主なんだかな。
マーズレンの言葉に、カルレインは胸のつかえが、取れた気がした。