盲目の天使
目線だけを動かして、胸元を見やると、そこには、自分の胸を刺し貫いた短剣がある。
それを両手で触ると、ソレイユの笑った顔と、目が合った。
笑っているのか、泣いているのか、それともその両方なのか。
今までに、見たこともない、恍惚とした、不思議な表情。
・・・・ソレイユ。
王は、一言も発することなく、そのまま絶命した。
「あはは、
あっはっはっは!!」
王は、胸から血を流して倒れ、リリティスは、自ら毒を飲んで死んだ。
自分の未来を阻むものは、もう何もない。
自分を縛るすべてのものは、これから先も、排除し続ける。
・・私は、勝者だ!
ほぼ計画通りにうまくいった結果に、ソレイユは、大いに満足して高笑いをした。
リリティスが、自ら毒を飲んだのだけが意外だったが、
どちらにしろ、自分が、毒を飲ませるつもりだったのだ。
結果に変わりはない。
瞬間、少しだけ、リリティスが、うらやましい気もした。
穢れたものを、全て拒否して、綺麗なままで、あの世へ行ってしまった少女。
しかし、ソレイユは、すぐに頭の中からリリティスを追いやった。
夢見るだけでは、現実世界で、生きてはいけない。
その時、ソレイユのすぐ後ろで、足音がした。
少し前に、自分の気配に気づかぬ王を、あざ笑っていたソレイユは、
自身もまた、あまりの興奮に、その気配に、まったく気づかなかった。
「リリティス!!」
声を発したのは、今しがた、リリティスが、別れを告げた人物だった。