盲目の天使
黒髪に縁取られた、ほっそりとした頬。
小さな顔が、乗っている、がっしりとした広い肩。
・・どこかで、会ったことがあるようにも見えるけど。
リリティスが、眉をひそめると、カルレインの綺麗な形の唇から、声が発せられた。
「心配しなくていい。お前の面倒はちゃんとみる。
何も心配せずに、養生しろ」
その言葉に頷いて、カルレインを見ると、
こちらをじっと見つめる、黒い双眸と目が合った。
どうして、そんなに優しそうな瞳で、私を見るのかしら・・・。
リリティスは、よく知らないこの男に見つめられて、心臓の鼓動が早まるのを感じた。
「後のことは、オルメ・・・、
さっきの年かさの侍女に、任せてある。
不自由なことがあれば、遠慮なく言え。
3日も意識がなかったんだ。無理はするなよ」
カルレインは、そう言って、椅子から立ち上がる。
その瞬間、ふらりと体が揺れて、椅子に手をついた。
こめかみを押さえているところを見ると、眩暈がしたのだろうか。
大きな掌が邪魔をして、表情が見えない。