盲目の天使

食事を終えると、侍女は気を使って、リリティスを一人にしてくれた。

ゆっくり眠るようにと言われ、そのとおりに、寝台に横になった。


かなりの時間が過ぎたように思う。


しかし、体は重いのだが、目を閉じると、さっきのことを思い出して、どうしても眠ることができない。



『あなたは、どなたですか』



何も考えず、ただ思ったことを、口にしただけだった。


だが、そう言った時の、驚きと悲しみの混じったカルレインの顔が、

リリティスの頭から、どうしても離れてくれない。



・・あの人のことを考えると、胸が苦しくなる。



なぜなのか。

その答えは、おそらく、失った記憶の中にあるのかもしれない。


リリティスは、水を飲んで、気持ちを落ち着かせようと、寝台から起き上がった。



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