盲目の天使
窓から空を眺めると、濃紺の空が見える。
月も、星も、隠れているのか、瞬きも見えない。
こんな風に、格子越しでない風景を見るなんて、いつぶりだろう。
ふと、一冊の本に、目が留まった。
寝台の脇にある、小さな机に置かれたそれ。
目が見えなかった私が、本など読むわけはないのに・・・。
リリティスが、本を手にとって、ぱらぱらとめくると、
乾燥した一輪の花が、ぽとりと零れ落ちた。
・・・何かしら、この花?
それは、以前、カルレインから贈られたものだった。
鷲のジルを使って、遠い鉱山から、手紙と一緒に届いた、真心の証。
手に取った花をしばらく眺めていると、押し花にまだらの染みができ、濡らしてしまった。
私、どうして泣いているのかしら・・・。
こみ上げてくる熱い思いを理解できず、リリティスは、声を殺して泣き始めた。