盲目の天使
私、もしかして、
この人のことを・・・?
リリティスは、なされるがまま、カルレインに体を寄せる。
規則正しい、心臓の音。
たくましい腕に抱かれて、こんな風に体を預けると、
それが、とても自然なことのような気がして、安らいだ。
しばらく抱き合った後、カルレインは、リリティスの涙を自分の指で拭った。
そのまま、口付けてしまいたい衝動を、何とか堪えて、寝台に寝かせる。
「もう少し元気になれば、カナンに連れて行ってやる。
だから、今日は、もう寝ろ」
リリティスの心が、喜びに震えた。
「カナンに?」
「あぁ。
自分の故郷のほうが、不安が少ないだろう。
俺が連れて行ってやるから、今は、体を治せ」
カルレインは、リリティスの髪をなでながら、優しく微笑む。
その柔らかな微笑みに、リリティスの心臓が早鐘を打つ。
自分の胸が、こんなにも高鳴るのは、故郷へ帰れるからなのか。
それとも・・・。