盲目の天使



皆、ノルバス国を歓迎していたのかしら。

だから、抵抗すらしないで、

あっさりと城を明け渡した・・。



「ごめんなさい、ルシル。

私は、王女だというのに、国のことを、

あなたたちがそんな目にあっていたということを、

何一つ知らなかったわ・・」


知らなかった。いや、知ろうとしなかった。

目の見えないことを言い訳にして。

叔父である王の言うがまま、大人しく流されていれば、楽だった・・。



・・皆が、私を置いて逃げ出すはずだわ。



顔を伏せて、今にも泣き出しそうになるリリティスに、ルシルは落ち着きなく目線を移動させる。


「あ、あの・・」


ふいに、獣の皮で作った水筒が、ルシルの視界に入った。



・・そうだわ、これでなんとか。



気まずい雰囲気を払拭しようと、ルシルは、それを手に取った。





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