Bitter
眠れぬ夜を過ごした後、母親の分のパンだけ焼いて、家を出た。
鉛のように足が重い。
地面に付けるたびに吸い寄せられるようになり、そこから動けなくなりそうだった。
果てしない恐怖と、
ほんのわずかな期待。
もし、まだ、あの子達に情があったら、
せめてユリ以外の二人は、『ごめん、昨日はユリの手前あぁするしかなくて』
と弁解するだろう。
それがなくても、いつも通り振る舞おうとしてくれるだろう。
そんな可能性、本当にわずかなのだけど。
何度も何度も深呼吸をして、冷や汗をぬぐった。
震える手で扉をそろそろと開ける。
視線を落としたまま席へむかおうとする。
崖の先端へ歩いてるようだ。
そこへ