Bitter
<麗>
名前を呼ばれてあたりを見渡すが、景色はすべてオレンジ一色だった。
ただ、頭にいとしいようなくすぐったいような、感覚が残っていた。
<はは、校長とおそろじゃん。>
手が見えた。
白くて血管が浮いている、しかし大きくて、いつも私が触れたがっている、手。
私はその指の隙間から、花びらが舞うのを待った。
今度はもう、二度と手放したりしないから。
その時、私の肩を何かがたたいた。
振り向くと、また手があった。
爪にラメの入ったネイルが施されていて、甲には目がついていた。
あたりは暗くなり、
どこからともなく伸びてくる手が、次々と増えていく。
おびただしい数のそれは、私を追いかける。
息を切らし走りながら、あの大きな手を探すが、もうどこにも見当たらない。
目をこらすうちに、追いつかれ、後ろから首をつかまれる。
つぶれた喉で、私は何度も、名前を呼ぼうとするが、もうその声は言葉を成さない。
それでも私は彼を求める。
何度も、何度も。