Bitter
私は今、泣くことも、
全てを語ることも、
許されている。


ただ、私が、あの日の決意を無にしてもいいのなら。


またあの屋上での時間のように、
大きな手で頭をなでてほしい。

言葉をかけてほしい。

今なら、

今だけなら

甘えられる。








でも—————‥‥









私は起き上がって、彼と正面から向き合った。


目を見つめ返す。





『—————‥。』






——あぁ、 やっぱり。




『‥‥‥高瀬。』


『ん。』




『安心して。』





『‥‥え?』




——彼は‥‥






『私は死なないよ。』







——文子さんを見てる———‥








彼が大きく目を見張る。







唇が少し、震えている。








私はいい終えた後、彼の顔が次第にぼやけ、とめどない涙が自分の頬をつたうのを感じた。




彼の手が一度、私の方へのびたが、
触れる事なくベッドに落ちた。





もう逃げ道はない


もう飛び込む胸はない。

もう泣いてばかりはいられない。

いいんだ、


だって私は、
最初から独りだったじゃない———‥‥。




* * *





彼は私が泣き止むまで、ずっとそこにいた。

授業がまだあったはずなのに、何も言わずに傍にいた。


その事実は、触れていなくても、私を慰めた。

自分の心についていた粘り強い何かが、じわあ、と熱をもって溶けていくような気がした。



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