Bitter
* * *






教室に戻ると、もう授業は終わっていて、アコとマキ、ユリ、あと他のクラスメートの女子が数人残っているだけだった。



扉をあけるとその子達が、思った通りの視線を向けてきた。


無視してカバンを持って帰ろうとすると、罵声が飛んできた。




『あいつ吐いたんだって。』
『くっさー。』
『汚っ。』
『え、それいつもじゃん?』

『きゃははは!』



歯を食い縛って扉に手をかけると、

後ろからバケツの水を全身に浴びた。



ぽた、ぽた、と水が床にしたたる。




『ぷ、ちょっとはキレーになったんじゃない?』



再び起こる嘲笑。



何が面白いの?




私は振り向くと同時にバケツを思い切り蹴飛ばした。


それはアコの机にあたって大きな音をたてた。


髪とスカートの水を絞り、ふうっと息を吐くと、

私は笑った。



『ありがとう。』



そう言い放った。




ぽかんとする彼女達を一瞥して、教室を後にした。





バケツを蹴った足先がじんじんと痛む。



その痛みを少し誇りに思う。







何を甘えていたんだろう、

何を迷っていたんだろう、

最初から、選択肢は一つだったんだ——‥。






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