マスカレヱド
「どうして」


 視線を外せない。地面にへたり込んだ弟を置いて、それはこちらへと歩み寄ってくる。


「今夜はダイセーキョーでボクはとっても嬉しいんダ」


 どうして?

 今目の前にいるそれとは、私達が作った空想の怪人のはずなのに!


「嬉しくテー嬉しくテー、思わず踊っちゃうヨー」


 歩みはゆらゆらと、左右に銀光を揺らしながら。

 口が裂けたかのような紅の塗り方。その唇を薄く開いてはくちゃりくちゃりと音を立てる。
< 19 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop