キテレポ 08-09
とはいえ、物事には始まりがある。彼がマゾヒズムに開眼したのは、今からちょうど18年前。12歳(小6)の時である。
その日、彼は生まれて初めて金縛りにあった。
深夜2時、目を開けると体が全く動かない。夢か現か、目の前には透き通るような白い肌をした髪の長い女がいた。恐怖のあまり目を瞑ると、女はOKサインと勘違いしたのだろうか、彼(パンツ一丁)の左乳首(無防備)を思いっきりちねった。その強さたるや、全盛期のダンプ松本とブル中野の最強(最凶)タッグをも凌ぐ破壊力があり、このままもぎ取られてしまっても何らおかしくない程であった。
しばらくすると女は満足したのか、そっと手を放し、微かに笑みを浮かべると、そのまま消えていった。その瞬間、不思議と金縛りも解けた。
汗だくで、ぜぇぜぇと息を切らしながら、彼は得も言われぬ高揚感に戸惑っていた。お察しの通り、パンツはビチョビチョに濡れていた。
若干12歳の若造が幸か不幸か、こんな形で淫靡な大人の世界を垣間見てしまったのだ。(ショッキングピンク!)
この日を境に、彼の学校での生活態度は一変した。担任の女教師に叱られたい。あわよくば、左、ないし右乳首をちねってもらいたい。その一心で、友達の上履きを隠したり、友達の縦笛に鼻くそを付けたりした。2日に1遍はした。致し方ない。思春期の止めどなき衝動を抑えるのは不可能だ。「少年よ、大したことねぇ。」かのクラーク博士もきっとそう言うだろう。君は悪くない。誰だってそう。僕だってそうなんだ。
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