偽装婚約~秘密の契約~
『だいぶ、キレイになってきましたね』
1時間ほど単語の発音の練習をすると瑞季さんはそう言って微笑んだ。
「あの、1つ質問してもいいですか?」
『どうぞ』
瑞季さんはさっきと同じ紅茶をあたしの前に置く。
「ジュウゴって…お金持ち、なんですよね?」
あの高校は本物のお金持ちしか入れない、というウワサを聞いたことがある。
そしてそこに通っているジュウゴはもちろん、お金持ちなワケなんだけど…
でも小学生のときにアイツがお金持ちだったような記憶はいっさいない。
『沙羅様はサクラ商事、という会社をご存じですか?』
サクラ…商事?
そう言えばお父さん、そこの子会社で働いてたような…
「まあ知ってることは知ってますけど…」
でも、その会社がどんな会社なのかは知らない。
『サクラ商事は、ジュウゴ様のお父様が経営している会社です。
そして日本でトップ10に入る会社なのです。』
日本で…トップ…10…?!
それを…ジュウゴのお父さんが……経営している…?
ってそれ…かなりのお金持ちじゃんか!!