オオカミいっぴき。~クールな不良と甘々❤ラブ!~




それを見て、あたしと篁さんは目を見合わせて笑う。

そして藤岡くんの顔はもっと歪んで。



なんだか楽しくなって、声をあげて笑った。



「藤岡くん、この人、篁櫻爾っていうの」

「……篁?

オウジって、本名かよ、それ」

「失礼な。24年間ちゃんと櫻爾で生きてきましたー」



篁さんが口をとがらせて、胸ポケットから1枚の名刺を取り出し、藤岡くんに渡す。

白い紙に明朝体の文字の、ちゃんとしたやつ。

……カフェの店長に、名刺っているのかな。



「篁、櫻爾……」

「はーい。気軽に櫻爾サマって呼ん」

「誰が呼ぶかっつーの」



冷たい言葉に、篁さんは肩を落とす。

大人の貫禄まったくナシのその姿に、また笑った。






藤岡くんは、篁さんに絡まれてなんだか照れているようだった。



――たぶん、藤岡くんは照れ隠しで、気持ちと裏腹な言葉を言ってしまうんだと思う。



ピアスのたくさんついた彼の耳が、赤く染まっていることがそれを物語っていた。


< 75 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop