オオカミいっぴき。~クールな不良と甘々❤ラブ!~
それを見て、あたしと篁さんは目を見合わせて笑う。
そして藤岡くんの顔はもっと歪んで。
なんだか楽しくなって、声をあげて笑った。
「藤岡くん、この人、篁櫻爾っていうの」
「……篁?
オウジって、本名かよ、それ」
「失礼な。24年間ちゃんと櫻爾で生きてきましたー」
篁さんが口をとがらせて、胸ポケットから1枚の名刺を取り出し、藤岡くんに渡す。
白い紙に明朝体の文字の、ちゃんとしたやつ。
……カフェの店長に、名刺っているのかな。
「篁、櫻爾……」
「はーい。気軽に櫻爾サマって呼ん」
「誰が呼ぶかっつーの」
冷たい言葉に、篁さんは肩を落とす。
大人の貫禄まったくナシのその姿に、また笑った。
藤岡くんは、篁さんに絡まれてなんだか照れているようだった。
――たぶん、藤岡くんは照れ隠しで、気持ちと裏腹な言葉を言ってしまうんだと思う。
ピアスのたくさんついた彼の耳が、赤く染まっていることがそれを物語っていた。