スタンド・アローン
 そういえば、昼に吉野屋行った後は水すら飲んだ記憶がない。

「ああ、せやな。どこ行こか」

 確か駅前にそば屋があったなあ、などと考えていたら、親父が物騒なことを口走る。

「ワシが何ぞ作たろかな」

 冗談じゃない。ネギ切っててコンロ吹っ飛ばすデストロイヤーに人間の食い物が作れるかよ。

「アホぉ、人死なす気かい」

 思わずツッコミをいれると、親父は高笑いしながら言う。

「凶状持ちになんぞなりたないわい。駅前にそば屋あったやろ。あと30分くらいで片付くから、見計ろうて来いや」

 ったく、この天然吉本親父。

 まあ、食事にありつけるんだし、いいか。
「ほな、待っててや」
電話を切り、荷開きの続きをしていると、そろそろ時間だ。
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