スタンド・アローン
「そりゃあね、あの時会場にいたからね。…やっぱり覚えてないか」

 んなこと言われても、試合のことさえ忘れてたしなあ。

「どうだったかなあ…」

頭を掻いていると、蚊帳の外だった先生が咳払いをする。

「そろそろ、授業を始めてよろしいですか?」

 あ、だいぶ機嫌悪そうだ。

 まあ、完全にほっとかれてたもんな。

「中嶋さんの席は…」

 先生が空席を探していると、

「ここ空いてま~す」

 さっきの女子。

 少し考えて、先生は指された席に俺を促す。

「では、大島さんの隣に座ってください」

「はい」

 俺は一礼すると席に向かう。

 第一ラウンド終了ってところか。

 しかし…

 大島…

 だれだっけ?
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