スタンド・アローン

「おや?」

 なんだかんだで、午前の授業は怒涛のように過ぎた。

 弁当作ってきといてよかった…

 食堂もあったがかなり混んでいたので、校庭の大きな木の下で食事をとることにする。

 ここなら、騒がれることもはさそうだし。

 …と、思ったんだけどなあ…

 どこからか現れた猫に弁当をわけてやっていると、

「猫のご機嫌とりとは、大した偽善者だね」

 これでもかといわんばかりに気取った仕草で、ディアナが現れた。

 こいつ…

「卑怯な小細工は普段から培って…」

「犬は人に馴染み、猫は家に馴染む」

 俺はディアナの台詞を遮って言う。

「こいつは、居心地がいいからここにいるだけのことさ。だから愛想はしても、すりよってはこない」
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