スタンド・アローン
 斜に構え、ディアナを睨む。

「真剣勝負だ何だってブチ上げたのは、ありゃただのパフォーマンスだったのかよ」

 軽く、右でフックを打つ。

「は…速い…」

 全く力を入れてない素振りすらも目で追えないディアナは、顔を引きつらせる。

「本気のパンチは、こんなもんじゃない。いいか見てろ」

 俺は深く踏み込むと、
今度は固く握った拳を一閃する。

「うっ…!」

 振り抜いたストレートは、硬直しているディアナの頬をかすめた。

「下手に動かないあたりは、まだ見所ありか」

 猫が食後の昼寝を始めたのを見て、俺は弁当を片付ける。
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