遠くから来た男の子

大人たちの気持ち

翌朝カーテンを開けると、まぶしい光がいっせいに入ってきました。
「今日も暑くなりそうね」と、リズが言いました。2人は朝食を食べ、カルロを連れて出かけました。そして、ジャン親子といっしょに、ジャンのお父さんの知人の役人のもとを訪れました。
 
役人は事情を聞くと、墓を掘り起こす手続きをしてくれました。その役人の父も、あの夜の大人の1人だったのです。
 
大男の墓を掘り起こすという話しは、またたく間に街中に広がりました。大人たちはもうすでに老人になっており、中には、もう亡くなってしまった人もいました。

皆、心の奥底では「何という、おそろしいことをしてしまったのだろう」と、長年、罪の意識にさいなれていましたので、その話しを聞くと、次々と墓地に集まり始めました。

手に花を持ってくる老婦人もいました。
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