恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
野澤先輩は、天を仰いでため息を一つついた。
「…江藤、一色くんの優しさを変に利用しないでよ。江藤も、一色くんがインターハイで泳ぐ姿、見たいと思わないの?」
そうだったんだ…
私は遠くからしか一色先輩を見てなかったけど、タイム伸び悩んでる様子、全然感じなかった。
いつも余裕の笑顔で…、、、愛に優しく教えてて…。
「………」
愛は左ほほを押さえたまま、しばらく何かを考えているようだった。
「なお。もう止めな。見苦しいよ。」
野澤先輩の隣にいた中川先輩が、野澤先輩を更衣室の外に連れ出した。
私はその様子を確認して、愛に駆け寄った。