恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
「ねぇ!あんたは?」
川崎さんは、更にその後ろからてくてく歩く男の子に振り返って話し掛けた。
「…何が?」
確か…、山田くんだっけ?
山田くんは面倒くさそうに返した。
「入部の目的!」
山田くんが少し遠目のところを歩いているので、川崎さんの声も大きくなる。
「言ったろ?渡に引っ張られたって。今日帰ろうと思ったら、『お前、入部届どこにも出してないだろ?』って、即連行。」
「今日!?いきなり?」
私は山田くんのその一言にびっくりして、思わず聞き返してしまった。
「…ま、先生としては、男子も欲しかったんじゃない?」
私の横で川崎さんは分析した。
そうかもしれないけど…
愛といい、
私といい、
山田くんといい…。
こんないい加減な入部動機で、水泳部、大丈夫かなぁ!?
…って、
それは川崎さんが心配したいだろうけど。。。