サラリーマン讃歌

～真実～

俺は梓の話を聞き終えると、怒りで体中がワナワナと震え、哀しみで心がザクザクと切り裂かれる様な思いに支配されていた。

俺にとって梓から聞かされた内容は、それほどに衝撃的だった。

久保も怒りを顕にし、梓が話している最中にも何度も声を荒げる場面があった。

梓に詰め寄ったところでどうにもならない事は百も承知していたのだろうが、感情を押さえる事が出来なかったのだろう。

梓はそんな俺達の怒りを察してなのか、殊更冷静に話をしていた。
ただ、目には涙をいっぱいに溜めながらではあったが……

「今、クミちゃんはどうしてんの？」

俺は声を震わせながら梓に尋ねた。

「あれからずっと休んでる。会った時ももう少し時間が欲しいって言ってたし……」

「で、そいつは学校に来てんの？」

俺は言葉に出すと同時に強烈な吐き気に襲われた。口にも出したくないし、頭にも思い浮かべたくたいような相手だが、訊かずにはいられなかった。

「河野のことだよね？」

俺は吐き気に耐えながら頷く。

「……今でも普通に来てるよ。何食わぬ顔をして！」

梓も今まで冷静さを保とうと努力はしていたが、流石に語尾に怒気が含まれていた。

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