サラリーマン讃歌
暫くソファに座って四人で会話を楽しんでいる間に、悠里がキッチンのテーブルの上に所狭しと料理を並べていった。

自分で取り分けられるように、大きめの皿に一皿ずつおかずが盛られていた。

鶏の唐揚げに、切り干し大根、鮭のムニエルに、ツナサラダなどなど。

とても高校生になったばかりの悠里が、一人で作ったとは思えないほどの豪華さと量だった。

「すごいねえ、悠里ちゃん」

素直に驚きの声をあげると、悠里は恥ずかしそうに微笑んだ。

「料理だけは得意なんです」

「そんな事ないじゃん。悠里ちゃんは、勉強できるし、何より可愛いじゃん」

なぜか俺以外の時の対応は、梓は非常に優しかった。ソファに座って喋っている時も、何故か俺だけには冷たかった。

「多分、桜井さんに焼きもち妬いてるんですよ。俺がよく桜井さんの話をするから……」

と、先程久保が俺に囁いてくるぐらいに態度があからさまだった。

「そんな事ないよ。って言うか、梓ちゃんなんかあの賢明にいってるじゃん」

悠里がそう言った瞬間、俺の心臓が高鳴った。

賢明女学院は空見子が通っているであろう高校だ。まさか、梓が同じ学校だったとは……

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