サラリーマン讃歌
「それを繰り返して酒に強くなるんだ」と言って無理矢理飲まされる事は度々あるが、強くなる気配はまるでない。

第一、そこまでして強くなろうとは思わない。

駅に着き、地下鉄の車内では何を考えるでもなく、ただボンヤリと過ごしていた。

昼間だというのに、座席に深く腰掛け、疲れ果てた様に窓に寄りかかって睡眠を貪ぼる初老のサラリーマン。

ドア付近で流れていく景色を眺めながら、何やらブツブツ呟いている三十代の営業マンらしき男。

(みんなお疲れなんだね)

と、自分も疲れた顔をしているくせに、他人事のように思った。

(今、人生を楽しんでますか?十年後の自分が見えますか?)

まるで自分自身に問いかけるように、心の中で呟いた。

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