君への願い事
再び学校の上空。

また先程の青白い光りの玉が学校の上空に浮遊している。
地上を見ると芽依と利枝が校門を出た辺りを歩いている。
その青白い光りの玉は芽依と利枝をながめているように見える。
そして会話も聞こえてきた。

「おい、ハピエル。勝負をしないか?」
「え、勝負!?何の?」
「今俺達の足元を歩いている人間の娘達がいるだろう?」
「えっと…。あぁ、髪が肩まである娘と、頭の後ろで馬のしっぽみたいに縛って
る髪型の娘だね。」
「そうだ。どうやらあの娘達は同じ男が好きみたいだ。」
「うん。お互い片想いだから赤い糸はまだ点線だけど二人の糸は同じ男を向いて
るね。」
「どっちが先に恋人同士に出来るか勝負しねぇか?」
「ええ!やだよ、競い合うなんて…。」
「馬鹿!俺達がキューピッドとしてずっと半人前なままなのは向上心が足りない
からなんだよ!」
「そうなのかなぁ。」
「よく考えてみろ!勝負に勝つためにはお互い努力をする。その努力の積み重な
りが一人前の要素になるんだよ!」
「そっか…。そんな気がしてきたよ!」
「だろ?恋人同士をジャンジャン作って恋愛ポイントをガンガン稼いで一人前の
キューピッドになる!そしてさらに手柄を重ねて果ては大天使になる!」
「僕達が大天使に!?」
「そうだ!やるか?」
「やる!よし勝負だジャミエル!」
「よ~し。ハピエル。やる気になったな。じゃあどっちがどの娘に降臨するか決
めよう。」
「そうだね。じゃあ…」
「よし、じぁあ俺から先に選ぼう!」
「え!?ずるいよジャミエル~!」
「うるさい!この勝負の発案者は俺だぞ!先に選ぶ権利くらいいいだろ!」
「いつも強引なんだからぁ…。」
「俺は左側の髪が肩までの娘に降臨する。」
「僕もその娘が良かったなぁ…。右の娘はなんか気が強そうだよ…。」
「つべこべ言うな!決まりだ!降臨時間を決めよう。人間時間で言う今日の夜八
時ちょうどだ。」
「わかったよ。ジャミエル!やるからには負けないよ。…ちょっと不安だけど。


話し合いは終わったらしく、
青白い光りの玉の正体の二人のキューピッドであった。ジャミエルは芽依の家の方に
、ハピエルは利枝の家の方へと、人の目では追い切れないほど速いスピードで飛
んでいった。
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