僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「あのね、別に煙草吸ったことに怒ってんじゃないの。隠してたことに怒ってんの! 分かる!?」
え……わかんねえけど、吸っていいわけ?
ポカンとしてると、凪は言葉を続けていく。
「祠稀さ、夜中にベランダ出てるでしょ。まだ春だし涼むには早いなって思ってたの、あたしは! だから何か悩みでもあるのかと思ってたのに、煙草かよ!」
「え、そこ? 怒ってる理由それ?」
「他に何かあんの?」
いやー……。
まあ吸っていいなら遠慮なく吸いますが。
肩すかしを食らった気分になり、ぽりぽりと首の後ろを掻く。すると凪は長い髪を束ねながらキッチンに入り、空き缶を指差した。
「でも学校では吸わないでよね。あと街中とか目立つとこではやめてよ?」
「ああうん……了解」
「それだけ」
気が抜けた俺に構わず、凪は冷蔵庫を開けて昼飯の準備を始めた。
怒られると思ってた分、本当に気が抜ける。怒られたかったわけじゃないし、吸うなと言われたって従わないけど。
結局凪は何が言いたかったのかと考えてもいまいち分からない。
吸いたかったら吸えばいいって感じだったけど、彗には吸わせるなとか、そういう感じでもなかったし……。
なんだ?