僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「……なんで謝るの? 彗が謝ることなんてないよ」
だから、こっちを見てよ。
あたしを見て。顔を、見せて。
願いは叶わず、あたしの右手を掴んでいた彗の手がするりと離れる。
「……夕飯、いらないから」
「っ彗!」
自室に戻ろうとする彗を引き止める前に、祠稀があたしの肩を掴んだ。
「ひとりにしとけって!」
「離してっ……彗!」
必死に伸ばした手も、願うように引き止める声も。彗には、届かない。
パタン…と、寂しい音だけがリビングに響いた。
「彗っ!」
「落ち着けって凪!」
祠稀はあたしの肩を掴んで、自分のほうへ向けた。見上げると、祠稀の困惑した顔が視界いっぱいに拡がる。
……どうして? なんであたしが引き止められなきゃいけないの?