僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
あたしも彗も両手いっぱいに荷物を持ち、やっと買い物を終えた帰り道。
空が朱色に染まるのを見ながら、逢ったら聞こうと楽しみにしていたことを思い出した。
「ねぇ、彗は高校どこなの?」
重い荷物に足をふらつかせながら問いかけると、彗は前を見ながら口を開く。
「S高校」
「はっ!?」
「……え?」
驚くあたしと目を合わせた彗は、分かっていないのか首を傾げた。
「いやいやいや! 一緒! あたしもS高!」
「……ほんと?」
こっちの台詞なんですけど!
「え、ホントに? 凄くない? てかなんで彗がS高?」
S高は至って平均的な偏差値で、世間では普通と言われるレベルの高校だけど……彗って頭よかったじゃん。