僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


あたしも彗も両手いっぱいに荷物を持ち、やっと買い物を終えた帰り道。


空が朱色に染まるのを見ながら、逢ったら聞こうと楽しみにしていたことを思い出した。


「ねぇ、彗は高校どこなの?」


重い荷物に足をふらつかせながら問いかけると、彗は前を見ながら口を開く。


「S高校」

「はっ!?」

「……え?」


驚くあたしと目を合わせた彗は、分かっていないのか首を傾げた。


「いやいやいや! 一緒! あたしもS高!」

「……ほんと?」


こっちの台詞なんですけど!


「え、ホントに? 凄くない? てかなんで彗がS高?」


S高は至って平均的な偏差値で、世間では普通と言われるレベルの高校だけど……彗って頭よかったじゃん。

< 33 / 641 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop