僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


俺が不機嫌な素振りを見せれば、有須はアタフタして必死に謝ってくる。


そんな弄りがいのある有須が面白くて、俺が吹き出すと有須は戸惑う。そんな俺らのいつもの風景。


部活に入っていない凪と彗がふたりで過ごす時間が多いように、俺と有須も幾分かふたりでいることが多い。


俺は正式入部してないけど、週3くらいのペースでサッカー部に顔を出してるし、部員も学年問わずいい奴らばっかだ。


気まぐれに混ざっては抜け、部活が終わる時間になれば有須を体育館前の階段に座って待つ。


逆に有須が俺を待つ時もあるけど、学校からマンションへの道のりは有須と帰るのがふつうだった。


電車1本で帰る時もあれば、寄り道しながら徒歩で帰る時もある。


なんてことない、平凡というにはぴったりな日々。


知らなかった、知ろうとは思わなかった学生らしい日々。


そこそこ楽しくて、たいした不満もない。

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