僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


「毛布でいい?」

「充分。サンキュ」


ミルク色の毛布を受け取った祠稀は微笑み、凪の声が明るくリビングに響く。


「んじゃ、もうみんな寝よっか!」


壁にかかった時計を見上げると、既に日付が変わって30分以上経っていた。


「実際俺も眠いわ。限界」

「……寝る」


それぞれ立ち上がって、祠稀以外が自室に向かう。


「明日は9時起床だからね」

「「……無理」」

「無理言うな! 10時には最後のひとり来るんだからね!」

「はいはい。手伝えばいんだろー」

「……起きられる気がしない」


電気を消すリモコンを持ちながらソファーに寝転がった祠稀に、ドアの前に立つ俺。


誰からともなく囁いた。


『おやすみ』


当たり前の挨拶に胸が熱くなった、春の夜。



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