僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ
「……憎かったんだよね」
大雅の指に挟まれた煙草の火種が吹き抜けた風に一瞬赤く燃え、灰が空に舞う。
「お互いが大事で仕方ないって顔して、幸せそうで……。彗くんの秘密を知った時、余計に憎らしくて、バカみたいだって」
そんなもの傷のなめ合いだって思った。そう大雅は呟き、俺は黙って聞いていた。
「人間なんて、裏切るだろ。上辺だけで、信じたらバカを見る。それを知って、絶望すればいいと思った。壊れればいい、って」
……ああ、でも。
「でも見誤ってたみたいだね。……もう、知ってた」
そう、知ってる。
彗も有須も。人間がどれほど卑しく愚かで残酷か。
だけど知ってる。
「凪ちゃんは……なんていうかのかな」
「……」
「彼女がいちばん、知らなそうだと思ったんだ。平々凡々に、なんの苦もなく生きてきたんだろうなって」
……彗も有須も、知ってる。俺だって知ってる。それから大雅と、あのオレンジ頭も知っただろ。
凪みたいな人間も、いるってことが。