【実話】コイウタ・完
歩道橋の階段を登りきったら、向こう側にすごく愛しい人の姿を見つけた…。


左手をポッケにしまったまま、右手をあげてこっちに向かってくる…。


目が合ってるのに、少し遠くてしゃべれる距離じゃなくて、どんな風にしたらいいんだろ?とか訳の分からない事を考えて一人でソワソワしてた。


ちょうど歩道橋の真ん中。


『おはよう!』



先に佑斗が口を開いた。



『おはようっ☆』


ずっと好きだった佑斗が、私だけを見つめて、私だけにそう言ってくれるのが未だに信じられなくて、ドキドキが止まらなかった。


付き合って2ヵ月経つのに、初めて会うなんて普通じゃないかもしれないけど、そんなことはどうでもよくて、ただ佑斗と私は恋人同士なんだ!っていうのだけで、すごくすごく幸せだった。



『はいっ。』


そう言って照れくさそうに右手を差し出す佑斗が、可愛くてしょうがなかった。


差し出された右手に、私の左手を重ねた。


初めて感じる佑斗の温もり…



『じゃ行こっか!』


『うん!』


心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしすぎて、その反面佑斗の大きな手になんだか安心して、不思議な気持ちだった…。



まだ真っ白な雪に、二人の同じ歩幅の足跡が付いていく。


そんな些細な事が、嬉しくてたまらない…。

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