ハピネス 〜女になった私〜
タクシーの中で、私達は少しだけお互いの事を話した。
彼の名前は、三橋伸幸(ミハシノブユキ)。
26歳で、旅行代理店で働いている。
さっきの居酒屋ではあまり話せなかったから、私は彼の名前すら覚えていなかった。
「旅行代理店って土曜日もお仕事あるんだ?大変ですね?」
「あーまぁ・・・。」
少しだけ気まずそうに答えた彼に、私は首を傾げた。
「ホンマは休みやねんけど、俺合コンあかんねん。」
あ〜嘘だったんだ?
思わずクスクスと笑ってしまった私に、彼も苦笑い。
「未希ちゃんは?よう合コンとか行くん?」
名前を呼ばれただけなのに、なぜかドキドキと早くなる鼓動。
「たまに。舞が私の為にセッティングしてくれるから。」
好きか嫌いかって聞かれたら、多分好きじゃないのかもしれない。
それはきっと舞も分かってくれている。
だから、舞は私以上に厳しい目で男の子を見て、“未希、アイツはやめといた方がいいよっ”とか、“あの子はオススメだよ〜”なんて、私が傷付かない様に、チェックしてくれたりするんだ。
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