ハピネス 〜女になった私〜



私の腕を引いて抱きしめてくれる父の温もり。



幼い頃を思い出す、懐かしい父の匂い。



「お父さん・・・」



「理解のない父親を許して欲しい。息子でも、娘でも、自分の子供には違いない。」



初めて見る父の涙。


女になった私をまっすぐ見てくれる父の瞳。



「幸せになりなさい。いつでも帰って来なさい。自分の道を貫き通したお前を、お父さんは誇りに思ってる。」



「お父さん・・・お父さんっ」



お父さんの腕の中は、昔と変わらないまま、大きくて、温かくて、優しかった。


「未希を、幸せにしてやって下さい。」


初めて呼んでもらった名前。



私の為に、ノブくんに頭を下げてくれる父の姿。



ノブくんまでもが泣いていた。



「ありがとうございます。必ず幸せにします。」




.
< 198 / 230 >

この作品をシェア

pagetop