戦国サイダー
「それと思李」



そして矛先が私に向かってくる、腕を引っ張られ、耳元に兄の声が近づいた。



「いい加減にしなさい」


「……は?」



何の小言を言われるんでしょう、そう思っていたらたったひとこと。


一体何を? 曖昧過ぎてわかりませんが。


いや、思い当たる節はあるけどさ、どうせこの鬼虎と仲良くしろとか言うんでしょ?



じいっとその無邪気そうと女の子たちに言われる、でも私からしたら邪気たっぷりの瞳を睨んでいると、兄は私の腕を放し、じゃ、と軽く挨拶する。


そしてそのまま玄関を出て行く、それ以上特に言うことなく。



とうとう私は嫌な人と二人っきりになってしまった。


隣には不機嫌な顔の鬼虎。


時刻は只今午後三時、寝るまでたっぷりある上に晩御飯まで用意しなきゃなんない。


 
いや、用意してる間はいいんだけど、食べてる間がね……昨夜は兄が場を繋いではいたけど、もう今夜は駄目っぽい。


 
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