戦国サイダー
眠れたのか眠れてないのか、わからないけれど。


私の頭はどんな朝よりも、クリアだったと思う。



本当に帰れるのか、やってみなきゃわからない。


だけど、やらなきゃ帰れない。



ずっと預かっていた若葉色の小袖と袴を身にまとい。


長い黒髪を高い位置でひとつに結い。


私が廊下に立ってその姿を眺める中、草履に足をすっと入れた。



田舎といえど、人目につかないように早朝。


日本刀は風呂敷二枚で包んで。





「行くか」



振り返った虎が、口元にほんの少し笑みを浮かべながら、静かに言った。


それに頷き、私もサンダルに足を入れる。


 
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