戦国サイダー
虎と喧嘩したとき以来、足を踏み入れていなかった鳥船神社。


高々と生い茂った木々が、朝日に照らされほのかな木漏れ日を生み。


参道を、そっと、照らす。





あの日は夕立ちだった。


図書館の帰り、突然降られた雨に仕方なくこの神社へ避難して。


境内で雨が止むのを待とうとしていたら、寝ている虎を見つけた。



時代劇の中から出てきたような恰好で。


日本刀を突き付けられ。


高慢な態度で押し切られ。


警察に突き出したい気持ちいっぱいで、我が家に連れて帰った。





懐かしいな。


ついこの間のことなのに、もう遥か昔のことみたい。


 
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