Mr.キューピッド
雪路と出会ったのは俺が死んですぐのこと。彼の方が少し早くやって来ていて、俺と一緒に滝本さんや先輩キューピッド達が歓迎会をやってくれた時にその存在を知った。
最初はオカマじゃなかったんだけれど、その時にやらされた女装で目覚めたらしく……『第2の人生はオカマでいくわよ!!』って、ガッツポーズをしながら言っていたな。それが『ユキちゃん』の始まり。
俺もさせられたけれど……双子の妹・佑音を見ている気分になって気持ち悪かった。
自分が佑音になったみたいで……。
「……で、何しに来たの?」
とりあえずソファーに雪路を座らせて、俺は雪路の座ったソファーの、目の前のソファーへ腰を下ろす。
雪路は『よくぞ聞いてくれたわ!』とか言って、ニコニコと笑った。
「ただ単にアナタに相手をしてほしいだ・け★」
「帰れ。」
聞くんじゃなかったと後悔した。
「何でそんなこと言うのよーっ!!」
雪路は頬を膨らませて、俺へブーブーと文句を言いながら足をじたばたとさせる。
いくつだよアンタ……。
「滝本さんがいないから寂しい思いしてるんじゃないかって……心配して来てあげたのに!」
仕舞いには服のポケットから花柄ハンカチを出して涙を流すフリをする。
ワザとってバレバレだからかなりムカムカする……。