ドラゴン・テイル【外伝】

 食事を終え、再び大空高くに舞い上がるヴァルザック。

 結局、ウルの魔法知識がどこからきたものなのかは分からなかった。

『まぁ、記憶をなくす前のウルが、魔導士とか魔術師とか召喚師とか呪術師とか……とにかく、魔法に関連した何かを専門に学んでたんだろうな。
 記憶が戻り始めた前兆かもしれねぇし、あんまり無理して思い出す必要は無いと思うぞ?』

 ヴァルザックの背で、首を傾げながら思いだそうとするウルに言う。

「そうかもしれないが……」

 完全に記憶が欠落していた時の方が、むしろそんなに焦ってはいなかっただけに、中途半端に思い出したせいで気になって仕方がない。

 ─はぁ……。

 疲れとも落胆とも言えないため息を付くウル。

『ほらほら、ため息なんか付くなよ!
 幸せが逃げるらしいぞ?』

 どこでそんな根も葉もない情報を仕入れたのか、ポンポンと背中でウルを弾ませるように小刻みな上下飛行をしながら言う。

 彼なりの慰めに、少し笑みがこぼれた。

「ばーか。そんなのは所詮作り話だよ」

 呆れた口調でそう言った瞬間、何かがウルの脳裏を過ぎる。





 ──……所詮作り話だよ。
 何でも願いを叶える、そんな都合の良い剣なんて……──





 無意識に、大きく目を開くウル。

『作り話だろーが何だろーが、ため息なんて気分を暗くするだけだろ?
 もっと気楽にいけよ、気楽に』

 ヴァルザックの声は、ウルの耳には届かなかった。

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