オモチャのキモチ【短】
今度は強く横へと引っ張られた髪に、私はバランスを崩して派手な音を立てながら椅子と机を巻き添えにして床の上へと無様に転がった。


床にしたたかに頬を打ち付けた私の視界に負荷に耐えきれずに千切れた髪がハラハラと舞い落ちる。


「俺に断りもなく、アイツラに遊ばれてんじゃねえよ。
この髪だって下手なシャギーで誤魔化そうとしてっけど、昨日やられたんだろうが!」


昨日、ペンケースが無くなった時に何故かカッターだけが机の上に残っていて、結んでいたヘアゴムごと髪の先を切られた。


帰りに美容院に寄ったから、誰にもバレていない筈なのに。
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