続きは、社長室で。
彼女に封じられて、無音となったスイートルーム。
先ほどのドアの音が木霊して、眼前の世界は無色と化しているのに。
佳奈子さんの表情と言葉だけは、鮮明に憶えているなんて。
本当に不都合で、皮肉なモノだね…――
何の情景も映さないままでいたいのに・・・
色褪せた世界の方が、どれほど楽になれるかな。
投げやりにも出来ず、まさに茫然自失で無気力な私。
涙は流れない、言葉なんて発せない、何も考えられない。
拓海の気持ちは、彼女だけのモノ――
「っ・・・」
駆け巡るモノたちが結びつくのは、あまりにも惨い事実。
すべてをヴェールに包んでいた、酷すぎるモノだった。
“俺の気持ちはオマエにしかない”
やっぱりウソで、その場限りだったのね?
“あれがギリギリのボーダーラインだ”
本命がいれば、妾への嘘吐きすらムリよね?
“言わない事ほど、相手を陥れる物はない”
本当だね…、その辛楚さで打ちひしがれそうだもの。
こんなにも苦しいなんて、知らなかったよ・・・